〇繊維系断熱材
素材を繊維状にして絡ませ、隙間に空気を閉じ込め断熱しているものです。
繊維系断熱材はさらに4つに分類できます。
・グラスウール
ガラス繊維でできており、メリットは安価で燃えにくいことです。一方、デメリットは湿気に弱く、壁の中で垂れたり、よれたりし易いので断熱性にムラが出たり、壁内結露によるカビなどの発生リスクがあることです。
・ロックウール
玄武岩などの天然鉱物やスラグなどを高温で溶解し作った断熱材で、メリットは燃えにくく、シロアリなどにも強い素材ということです。また、リサイクルも可能な素材です。
デメリットは吸湿性の素材ではありますが、水を吸うと断熱性が著しく落ちることと、グラスウール同様、施工状態によっては壁の中で垂れたり、よれたりしやすいことです。
・セルロースファイバー
古紙を再利用した断熱材で、メリットは調湿効果、防虫効果、防音効果があることです。
デメリットは施工コストが高い、壁の中で自沈することにより隙間ができると断熱欠損になる可能性がある、解体したとき、セルロースファイバーが飛び散る等が言われています。
・インシュレーションボード
木質繊維でつくられており、メリットは軽くて、加工しやすい、透湿効果が高い等があります。
デメリットはシロアリに弱く、価格の割に断熱性能が低いことです。
〇発泡プラスチック系断熱材
プラスチックを発泡させて、細かい気泡の中に空気を閉じ込めて断熱しているものです。
発泡プラスチック系断熱材はさらに4つに分類できます。
・押出発泡ポリスチレンフォーム(XPS)
ポレスチレンを加熱溶融し、発泡剤、難燃剤を添加して押出成形することで製造する断熱材です。
メリットは断熱性能の高く、湿気に強く、吸湿性もありません。また軽いので施工性に優れています。
デメリットはコストが高く、熱に弱いということです。燃えにくい素材にはなっていますが、熱により、収縮します。
・ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
押出発泡ポレスチレンフォームと基本となる原材料は同じで、製造方法が違います。一般的に発泡スチロールと呼ばれています。
押出発泡ポリスチレンフォームと特徴はほぼ同じで、水や湿気に強く、緩衝性の高い素材で、施工性に優れています。
・ウレタンフォーム
ポリイソシアネートとポリオールを主原料に、発泡剤と解媒などを混ぜて生成します。現場発泡とボード状の2種類があります。
メリットは、断熱性に優れており気泡に熱伝導率の極めて小さいガスを含めて施工すれば薄くても十分な断熱性を発揮します。また、自己接着性があり、壁の中で垂れたり、よれたりすることがなく、断熱性にムラがでません。
デメリットは施工に手間がかかります。また、燃えると収縮します。木材の発火点が250℃ですが、硬質ウレタンフォームの発火点は410℃と木材が燃えるよりはるかに高温にならないと発火しません。
・高発泡ポリスチレン
ポリエチレン樹脂に発泡剤を加えて発泡させた断熱材です。
メリットは高い断熱性とともに、柔軟性、防水性にも優れています。デメリットは熱によって収縮します。
・フェノールフォーム
フェノール樹脂に発泡剤、硬化剤などを加えてボード状に形成した断熱材です。
メリットは断熱性能が非常に高く、耐久性にも優れています。デメリットは価格が他の断熱材に比べても高いことです。
〇天然素材系断熱材
無添加で自然素材を利用している断熱材です。
環境にやさしい断熱材ですが価格が高くなります。
天然素材系断熱材はさらに2つに分類できます。
・羊毛断熱材
原料は羊毛になります。体に優しい防虫処理を施し利用します。
メリットは高い調湿・吸湿・放湿効果と断熱性です。
デメリットは施工業者の確保と、施工品質の確保。また、価格が高額となります。
・炭化コルク
ワインの栓などの製造過程で出たコルク端材などを炭化させたものです。たくさんの空気を含んでおり、調湿・断熱・吸音に優れています。
また原料のコルク樫は防虫効果があります。デメリットは取り扱いが少なく、高額になります。